藤岡市の希少種「「ヤリタナゴ保護」の現状

 斉藤 裕也  
ヤリタナゴ調査会

 要 旨 

 神流川は竣工して40年を経過した下久保ダムによって序々に河床の低下や礫川原に植生が発達するなどの遷移がみられ、カワラバッタどの生息地が限られるなど変化が明らかになっている。
 
 ヤリタナゴの生息地は神流川流域の従来からの耕作地の中にある素掘りの用水路の一部で、
生息地は幅1m、長さはおよそ1kmの範囲だけである。
 生息数はおよそ200〜2000尾の間を推移しており、なんとか個体群の保全は計られていると考えているが産卵母貝のマツカサガイの殻が昨冬400個体もみつかり、大量死が懸念されている。 
 ヤリタナゴはマツカサガイを産卵母貝とし、マツカサガイは幼生をドジョウやヨシノボリなどの底生魚に付着させる関係にあり、多様な種が健全に生息していないとヤリタナゴの保全は行えない。
 
 また、ヤリタナゴの保護のためには外来の捕食者や生態的競合種との関係、生息地の縮小、冬期の水質と水量、用水路の水門操作の問題等の多くの課題がある。
 
 さらに本年はアメリカザリガニの大繁殖もあり、緊急にこれの駆除を計画しているので、協力をお願いしたい。                            

  

 

←素掘りの農業用水路         ↑ヤリタナゴ(保護作業
 
産卵母貝のマツカサガイ 大繁殖しているアメリカザリガニ 

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