かんな川水辺の楽校公開講座    本文へジャンプ


2016.1.30 藤岡市美九里公民館
『水生甲虫について学ぼう』

群馬県立ぐんま昆虫の森 茶珍 護


講演要旨

水生昆虫とは、川などの流水域、池や沼などの止水域といった淡水に生息している昆虫類です。ウミアメンボ類など一部、海水や汽水にも生息しているものもいます。定義すれば、「生活史のすべて、あるいは一時期に、水面または水中で生息する昆虫」のことを指します。昆虫類のうち、水生昆虫が含まれる分類群は11目(カゲロウ目、トンボ目、カワゲラ目、カメムシ目、ヘビトンボ目、アミメカゲロウ目、トビケラ目、チョウ目、ハエ目、コウチュウ目、ハエ目)で、日本産水生昆虫は分かっているだけで約3500種にのぼり、もっとも種類数が多いハエ目では約2000種が確認されています。

コウチュウ目は、世界で約37万種が確認されている分類群の中でも最も大きなグループで、日本には約11000種が生息しています。そのうち約400種が、ゲンゴロウなどを含む水生のコウチュウ目(水生甲虫)です。

水生甲虫は、コウチュウ目の3亜目、ツブミズムシ亜目、オサムシ亜目、カブトムシ亜目に含まれる約20の科にわたり、大きいものはゲンゴロウのような 4cmを超えるものから、約1mmにも満たないものまでその大きさや形は多種多様です。

オサムシ亜目には、代表的なものとしてゲンゴロウ科があげられます。

ゲンゴロウ科は、日本に約130種が生息しており群馬県では約30種が確認されています。流水域、止水域どちらにも生息していますが、多くは池沼など止水域に生息しています。その他にも、ミズスマシ科、コガシラミズムシ科などが含まれます。

 カブトムシ亜目には、ガムシ科をはじめ多くの水生甲虫が含まれます。よく知られるホタル科もここに含まれます。他には、幼虫がユニークな呼吸法で知られるハムシ科ネクイハムシ亜科、主に川底や植物の根際に生息するヒメドロムシ科、幼虫がウォーターペニーで知られるヒラタドロムシ科、微小なダルマガムシ科などがあげられます。

 ツブミズムシ亜目は、クロサワミズムシなど少数が含まれますが、群馬県からはまだ見つかっていません。

群馬県の流水性種についてはこれまで11科57種が確認されていますが、止水性種を含めるともっと多くの水生甲虫が生息しています。これから調査がすすめば、もっとたくさんの種類が確認されるはずです。

   
 オオミズスマシ ガムシ幼虫 
   
 ゲンゴロウ成虫 ゲンゴロウ幼虫 
   
 ゲンゴロウ卵  ゲンゴロウ蛹2
   
ゲンジボタル
 マルヒメツヤドロムシ
 
 モンキマメゲンゴロウ  

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