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下久保ダム土砂掃流実験
下久保ダムフラッシュ放流
2012年7月19日


 平成24年7 月19 日(木)午前10時から、下久保ダムで、ダム下流の河川環境の改善を目的としフラッシュ放流が行われました。
フラッシュ放流は、土砂掃流実験のため、貯水池(神流湖)上流端に堆砂した土砂を下流河川に運んで置土し、それを下流に流すため行われます。
今回の置土は1,900m3でした。

 下久保ダムは堤体の長さが日本一の多目的ダムで、群馬の清流といわれる神流川の中流域、地質学的に有名な三波川変成帯にあり、景勝地三波石峡の直上流に位置します。 昭和44年から運用開始されましたが、三波石峡が無水区間となり、景観が悪化、また土砂供給が遮断されることによる 河床の低下や砂州の消失などが起こり、水生生物の生息環境も悪化するなどの問題が起こりました。また、ダム自身も想定以上のスピードでダム湖に上流から流下してきた土砂が堆積していくという大きな問題を抱えています。 
  
 これら問題の改善・解消を目的として、平成13年に維持流量放流を開始し、無水区間は解消。平成15年には土砂掃流実験が開始され、ダムにより供給されない土砂を供給し、その効果を検証するモニタリング調査が続けられ、現在に至っています。
平成17年にモニタリング調査の方法や結果等について検討する神流川土砂掃流懇談会が設置され、カワゲラの会の私も参加しています。
 

午前10時にオリフィスゲート1号から放流が開始されました。 10時20分に2号も開き、約8㎥/sになりました。
放流の計画表です。10時から開始し,12時30分~1時30分の間が最大の約90㎥/s 放流され、3時30分で終了予定です。


 10時15分。
 左の画像と上の画像は放流開始直後のです。
 まだオリフィスゲート1号からの放流ですが、
 すでに置土が崩れ始めました。
 まだ置土の右岸側に流れは回っていません。
 上に書いてある白い升目は、3m×5mです。

11時13分、中央下流部が先に左岸側は大きく削られて行きましたが、
右岸側からも削らています。 
左を拡大。左右から削られてますが、まだ繋がっています。 
 11時55分。とうとう切れました。右岸から左岸に泥水が流れ込み、
堤防が切れたといった感じでした。
11時58分。そうすると、一気に崩れ始めました。 
12時24分。もうすぐピークの90㎥/s に達します。 
置土の下流部はほぼ流れました。
同 12時24分。水しぶきが上がり、足元から冷たい空気が上がって来て、非常に快適でした。
 
同12:24.足元は、こう見ると怖いほどの流量になっていました。 12時52分。下流の「かんな川水辺の楽校」に看板がありました。ありがとうございます。ここはまだ増水していませんでした。
   
放流はピークを過ぎました。置土のほとんどが流されました。
フラッシュ放流はダム湖の貯水量が少なくできない年もありましたが、今年は5月19日に利根川にホルムアルデヒド検出による200m3/秒の放流もありましたので、下流域の変化がモニタリング調査で確認できるものと思われます。
 
土砂が河床に供給されることにより、河床環境は改善されるのか、下流域に問題は起きないのか。
モニタリング調査項目の水生昆虫の結果を見ていると、実験開始初期には見られなかったモンカゲロウが次第にみられるようになってきました。掘潜型の代表のような川虫です。ツルツルだった河床に実験により供給された土砂が堆積し、生息場所ができてきた様子がうかがえます。
群馬高専の本田さんの卒業研究「土砂掃流実験の効果の検証について 」にもその様子が報告されています。
(実験区間に流入する鳥羽川に珍しいトビケラがいました。)
またご報告したいと思います。

    
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