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アメリカナミウズムシGirardia tigrina


  2011年11月15日、かんな川水辺の楽校で外来のプラナリアを確認しました。
今年は台風によるかく乱で、河床がきれいにクリーニングされたので、もう見つからないかと思っていましたが、昨年確認した地点より約100目mほど上流に、9個体採れました。瀬の岸寄り、ヒラタドロムシが付いている礫に見られることが多いようでした。昨年より小さく、また数が9個体と少ないことが、少し救いでした。
 ところが、昨年は、どの個体もアメリカツノウズムシでしたが、今年は見つかった9個体の中に、2個体色の薄いのがいました。
体表の模様と耳葉の形からアメリカナミウズムシGirardia tigrinaと思われました。

2011年11月15日、 神流川(かんな川水辺の楽校)で確認したウズムシ
   
 岸際の礫の裏に張り付いていたアメリカツノウズムシ。昨年に比べ、今年は小さく数も少なく、9個体採れました。ヒラタドロムシと一緒に見られることがほとんどでした。 小石と一緒にシャーレに入れると、みんな石の下に隠れていきましたので、シャーレを揺らすと、丸くなり、コロコロと水の動きに合わせて転がる感じで出てきました。
 
見ていると、動き出します。

 まず同じ方向に動き出すことがほとんどでした。
 
 今年とれたのは、まだ小さな個体ばかりでした。表皮が薄く腸管など内部の器官が透けていました。 これは2個体です。シャーレの壁に張り付いている腹側が見えている画像です。上下に重なっているので、頭のほうが分かれてる様に見えたらすみません。
9個体の中に2個体、体表の模様がはっきりしている個体がいました。中央がそれです。

左の中央の個体、それが縮まったところです。
アメリカツノウズムシ(上と比べると、体表の模様がはっきりしています。
耳葉の形も違いました。

下:耳葉は伸びて最大この程度で、横に伸び、上のアメリカツノウズムシのように角のように上に伸びることは確認しませんでした。体表の模様と耳葉の形からアメリカナミウズムシと思われます。


簡易識別法「頭部の図解検索表」

 正確なプラナリアの同定は切片標本の顕微鏡検査が必要ですが、「頭部の図解検索表」が発表されていて、種までの仮同定ができます。
 川勝 正治, 西野 麻知子, 大高 明史 (2007): プラナリア類の外来種 . 陸水学雑誌, 68: 461-469、川勝 正治等(2008)日本の平地水域のプラナリア類― 在来種と外来種の手引き ―http://victoriver.com/Documents/mw_j.pdfから引用して紹介します。一部改変しました。*は筆者が付け加えました。

 

1、トウナンアジアウズムシDugesia austroasiatica  

小形のプラナリアで、原産地は東南アジア。頭部左右の耳葉は目立たない。

温水域に生息するプラナリアなので、日本の野外で分布拡大の可能性は低いと考えられているようで、野外定着個体群は京都市の深泥池だけで見つかっている。

*在来のナミウズムシとは、外観では区別点なしです。
 

2.アメリカナミウズムシGirardia tigrina

 体表の模様が目立つ。両眼の間隔が狭く、耳葉が中程度で、両眼の間隔が狭い。再生力が強くアメリカ大陸原産だが、ヨーロッパやアフリカなど世界各地に帰化している。ここ10 年来、日本各地で野外定着個体群が見つかっていて、利根川水域低地部(茨城県)における本外来種の分布生態についても報告されている。

*形は在来ナミウズムシとそっくりですが、体にマダラ模様があります。
 

3、アメリカツノウズムシGirardia dorotocephala 

耳葉が細長く伸びるが、常に伸びているのではなく、水中で動いているとき耳葉を活発に動かすので、確認できる。小さい斑点がある。咽頭表面の色素層はかなり濃く、色素斑も見られる。アメリカ大陸原産。2007年には日野市(東京都)の多摩川とその支流、相模原市(神奈川県)の境川および相模川とその支流から多数の個体が採集された。

2010年10月に神流川でも確認した。 


引用文献
1.川勝 正治等(2008)日本の平地水域のプラナリア類― 在来種と外来種の手引き ―http://victoriver.com/Documents/mw_j.pdf
2.川勝 正治, 西野 麻知子, 大高 明史 (2007): プラナリア類の外来種 . 陸水学雑誌, 68: 461-469
3.環境庁水質保全局(1999)水生生物による水質の調査法―川の生きものから水質を調べよう―
4.手代木 渉・渡辺憲二(1998)プラナリアの形態分化、共立出版
5.プラナリア原色図説(川勝正治)http://www2u.biglobe.ne.jp/~gen-yu/plaj_list.html 
6、渡辺仁治(2005)淡水珪藻生態図鑑、内田老鶴圃

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